塩害・アルカリシリカ反応対策

SSI工法

SSI工法(Suppressing Salt Injury Method)は、鉄道総合技術研究所と旧日本道路公団試験研究所とが共同開発した塩害対策工法です。本工法は、ポリマーセメント系をベースに「塩分吸着剤」を配合した数種の補修材料で構成され、劣化状況や補修部位に応じて合理的に材料の組み合わせを選択することを可能にした工法です。
これらの材料の中で標準的な組み合わせについては、N(Normalized)-SSI工法としてNETIS登録技術(KK-100009-VE)となっております。
この度、防錆材の性能を大幅に向上させ、かつ、断面修復材の選択範囲も拡大し、高性能版として改訂致しました。

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「塩分吸着剤」構造・作用模式図

「塩分吸着剤」は、左図に示すような層状の構造を有するカルシウム・アルミニウム複合水酸化物で、予め層間に鉄筋腐食抑制効果のある亜硝酸イオン(NO2⁻)を持っています。海水や砂、融雪剤などから供給される塩化物イオン(Cl⁻)に直接作用して、鋼材が腐食しにくい環境に改善します。
即ち、鉄筋・鋼材を腐食させる塩化物イオンを吸着して無害化し、防錆効果を有する亜硝酸イオンを放出するため、極めて効率的に防錆環境を提供します。

鉄筋の腐食抑制のメカニズム 

SSI工法 施工断面図

「塩分吸着剤」を活用したSSI工法には、次のような三つの特徴があります。
(1)残存錆を無害化します
 補修において、露出鉄筋の表面錆を完全に除去することは困難です。SSI工法で使用する「塩分吸着剤」は、除去しきれなかった錆層に残留した塩分を吸着・無害化するため、錆の進行を抑制します。

(2)腐食環境を改善します
 補修に際し、鉄筋周辺の躯体コンクリート中に塩化物イオンが残存すると再び鉄筋を腐食させる原因になります。「塩分吸着剤」は、鉄筋周辺の腐食環境を防錆環境に改善して鉄筋の腐食抑制効果を高めることにより、本来の機能を発揮させます。

(3)高耐久性を実現します
 SSI工法を構成する材料はコンクリート躯体と同質のポリマーセメント系材料で構成し、高耐久性を実現します。また使用する際には、水と練り混ぜるだけで、セメントと同等の取り扱いを可能にし、作業者への負担を軽減します。

海岸沿いの橋りょうにおける自然電位の変動

海岸沿いの橋りょうにおける施工20年経過後の様子

SSI工法の適用事例

CSCシステム

塩害環境などにおける鋼構造物は、塩化物イオンの影響で錆が発生し、穴状に腐食することが多くみられます。CSCシステムの下塗り材防錆コートFに配合した「塩分吸着剤」[イオン交換能を持つカルシウム・アルミニウム複合水酸化物]は、塩化物イオンを吸着・固定化すると同時に、防錆効果の高い亜硝酸イオンを放出する効果を発揮することで、鋼材の腐食を長期的に抑制する画期的な高防錆塗装システムです。中塗材の防錆コートPと、上塗材の防錆コートTを組み合わせた塗装構成により、優れた耐候性を発揮します。

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新設部材に塗装する場合

塗り替え塗装の場合

日本海沿岸地区での暴露試験状況
(約3年半経過時点)

SAAR‐Ⅱ

SAAR工法は、鉄道総合技術研究所の開発によるアルカリシリカ反応(AAR)対策工法です。有害なイオンを取り込んで無害化する「アルカリ交換剤」を改良し、SAAR -ⅠからSAAR -Ⅱに高性能化しました。他の工法では実現できない以下の特徴により、抜本的にAARを抑制します。

「アルカリ交換剤」を混入したひび割れ注入材は、ひび割れ周辺のゲルや躯体中に存在する有害なアルカリ金属イオン(Na+、K+)を吸着・固定すると同時に、反応を抑制するアルカリ金属イオン(Li+)を放出しAARを抑制します。

水性シラン系含浸材をコンクリート表面から含浸させ、吸水防止と水蒸気透過性を付与し、躯体への水分の直接侵入を防ぎ、劣化抑制効果を発揮します。

SAAR -Ⅱは、コンクリート躯体と同質のポリマーセメント系をベースとした無機質材料で構成し、高耐久性を維持します。

「アルカリ交換剤」
構造・作用模式図

アルカリシリカ反応
抑制のメカニズム

材料販売

塩害対策工法「SSI工法」®

鉄道総合技術研究所が開発した「塩分吸着剤」を用いた工法です。

本工法は塩害により劣化した鉄筋コンクリートを塩分吸着機能を持った特殊な材料(「塩分吸着剤」入り防錆ペースト・モルタル)で修復します。
補修材料はコンクリート躯体と同質で高耐久性の無機系材料で構成しています。

このたび、従来の防錆ペーストの性能を3倍に向上させた高性能防錆ペーストを開発しました。防錆モルタルが不要となり、施工が簡素化できます。
防錆材が単一層となって付着界面が減少し、施工品質が向上します。

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「塩分吸着剤」配合塗装「CSCシステム」®

鋼構造物を塩害環境等の腐食から守る画期的な防錆塗装システムです。

下塗材である無機系防錆材に配合された「塩分吸着剤」が防錆機能を発揮します。
下地処理はブラスト処理を必要とせず、電動工具にてできる限り錆を取り除くことで、効果を発揮します。

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簡易防錆法

鉄道総合技術研究所が開発した「塩分吸着剤」を用いた工法です。

露出鉄筋に対して「応急的」な小断面欠損修復型の補修法です。防錆スプレーと保護を目的とした手もみモルタルと保護スプレーがあります。

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アイアンバスター®

トンネル等の湧水・漏水箇所で発生する鉄バクテリア汚泥を抑制します

  • ・抗菌成分を含む石鹸状の薬剤で、水に触れると徐々に溶け出します。
    溶け出した抗菌成分(DDAC)が鉄バクテリア汚泥の発生を抑制します。
    DDACは洗浄剤にも使われている一般的なもので、海外でも広く使用されています。
  • ・薬剤の効果は水量にもよりますが3ヶ月程度持続し、排水溝等の排水障害を除き清掃業務を軽減します。
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  • ※抗菌成分のDDACは2019年に劇物指定されました。通常の使用においては、環境への影響はございませんが、販売、保管、取扱等について毒物及び劇物取締法の規制を受けます。
    詳細については、塩害対策技術部までお問い合わせください。

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塩害対策技術部 TEL:042-501-2605

メールでのお問い合わせ

主な実績

2022年 施工実績集計

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リンク

SSI工法の技術向上・普及推進を行っている塩害対策工法研究会のページです。

塩害対策工法研究会